2枚の植生図

今日は妻が休日出勤で訪問者もなく,1日パソコンに向かって過ごした。妻からの下請け仕事で,ある市が以前作成した植生図と環境省第6回自然環境保全基礎調査の植生図を見比べて,凡例の対応などをつけていた。この市は最近市町村合併で市域が広がったので,旧市域で実施されていた自然環境調査のデータと新市域の既存資料をまとめて今後の環境基本計画などの基礎資料としようとしている。作業をしながら気になった点は2つ。
1つは植生自然度との対応。第6回自然環境保全基礎調査では,植生の凡例が全国で統一して,10の植生区分,58の大区分(その下に中区分と細区分)に整理された。過去の自然環境保全基礎調査で用いられた植生自然度との対応は明示されていないのだが,自然植生か代償植生かは植生区分で分けられているのでたいていは対応がつく。しかし,たとえば湿原・河川・池沼植生の「ヨシクラス」では自然植生も代償植生もふくまれていて植生自然度を5とすべきか10とすべきか迷ってしまう。
もう1つは旧市域の植生図の調査者の思い入れのようなもの。旧市域の植生図ではある寺社林が自然植生の「ルリミノキ−イチイガシ群集」となっており,同じ場所が環境省の植生図では代償植生の「シイ・カシ二次林」になっていた。環境省の方はその林分で種組成を調べたとは思えないのだが,旧市域の方は種組成まで調べて判定している。市の自然環境調査のデータとしてはその市にとって重要な群落をピックアップしておくことが必要で,同じ縮尺1:25000レベルの植生図でも全国調査にはないきめ細かさがある。