数値標高モデルデータを実際に使ってみる

オリエンテーリング地図(Omap)は,国際オリエンテーリング連盟の定める規定(http://orienteering.org/resources/mapping/)に従って作成された,ナビゲーションのための地図です。Omapは都市計画図などを基礎図として,トレイル,微地形,林内の通行可能度など,地図を持って山中を走るときに必要な情報を現地踏査により書き加えて作ります。

比較

実際に基盤地図情報の数値標高モデル(http://fgd.gsi.go.jp/download/)を使った地図がOmapの「調査原図」としてどのように使えるか,一つの仮想例としてすでにOmapがあり,各種の数値標高モデル(5mメッシュ標高[航空レーザ測量,写真測量],10mメッシュ標高[1:25000地形図ベース])がそろっている「京都地区」で例示してみます。

Omap「奥大文字・山紫水明東山」 http://www.o-news.net/wr/2010/100530.jpg
この地図を使ったオリエンテーリング大会の記事 http://www.o-news.net/2010/06/z8.php


Omap「奥大文字山紫水明東山」の一部分。磁北方向が上になっているため,下の地図と比較すると約7°左へ回転している。



5mメッシュ標高からGDAL(d:id:kooi:20110713)で5m間隔の等高線を作成し,基盤地図情報縮尺レベル2500の道路縁,建物,水涯線と合わせて表示したもの。等高線が赤茶色の部分が「航空レーザ測量」DEM5A,薄茶色が「写真測量」DEM5Bのデータ部分。基盤地図情報では,同じ地区のDEM5AとDEM5Bは重複しては公開されていない。

基盤地図情報で全国のデータが作成されている10mメッシュ標高から,上記と同様に5m間隔の等高線を作成して表示したもの。

いかがですか。等高線による地形表現をOmapと比較してみると,下図のA,B地点では微小な沢地形が表現されていて航空レーザ測量の精度の高さをうかがい知ることができます。一方,C,D地点ではむしろ10mメッシュ標高の等高線の方が現実の地形に近いと考えられ,写真測量による5mメッシュDEMは(場所によっては)Omapの原図としての精度が10mメッシュ標高より劣ると考えられる場合もあるようです。