世界測地系の地図上の日本測地系3次メッシュポリゴンを作る(4)

基盤地図情報の利用

前回(http://d.hatena.ne.jp/kooi/20110612)はWMS地形図の表示まで紹介しましたが,印刷はできないところで終わりました。今回は,使いたいところの地図をメッシュ入りで印刷するために必要なデータを紹介します。
さて,基盤地図情報というのは,国土地理院が公開している日本国内の地形図や都市計画図の基盤となる地理情報です。
http://www.gsi.go.jp/kiban/index.html
基盤地図情報の閲覧・ダウンロード→ダウンロードサービスを開きます。
http://fgd.gsi.go.jp/download/
6月18日現在,ID登録制へ移行する予定というアナウンスは出ていますが,自由にダウンロードすることができます。まずは下の方にある基盤地図情報閲覧コンバートソフト(6.2MB zipファイル)をダウンロードします。zipファイルを解凍するとFGDV.exeなど8つのファイルができます。FGDV.pdfがマニュアルになっています。
インストールをしなくてもexeファイルをダブルクリックすると動きますが,Start.cmdを実行して任意のフォルダにインストールしておきます。

次に,データのダウンロードです。基盤地図情報ダウンロードサービスのダウンロードファイル形式選択から「基盤地図情報縮尺レベル25000」「JPGIS形式」をクリックします。するとダウンロード項目指定として都道府県名がずらっと並びます。
ダウンロードしたい県の「+」をクリックすると,「海岸線」「行政区画の境界線及び代表点」「道路縁」「軌道の中心線」「標高点(数値標高モデルを除く)」「水涯線」「建築物の外周線」のチェックボックスがあらわれます。全部チェックして「選択して次へ」のボタンをクリックすると,ダウンロードファイルリストが表示されます。「道路縁」「標高点(数値標高モデルを除く)」「建築物の外周線」の3つは特にファイルサイズが大きく,県によっては20〜30MBごとに複数のファイルに分割されていると思います。北海道を見たら「標高点(数値標高モデルを除く)」のzipファイルは71個もありました。これ,どの地域がどのファイルに入っているかわからないのはちょっと大変ですね…
ちなみに,「標高点(数値標高モデルを除く)」とは等高線のことです。

ダウンロードファイルリストの右端のダウンロードボタンを押して,一つずつファイルをダウンロードします。ダウンロードしたファイルは,適当なフォルダにまとめておきます。zipファイルを解凍する必要は特にありません。
基盤地図情報閲覧コンバートソフトを起動し,「新しいプロジェクト」で「追加」ボタンを押すとファイルを選択する画面になりますので,今ダウンロードしたzipファイルを選択します(複数同時選択可)。

見たいファイルが全部ボックス内のリストに表示されたら,「OK」をクリックすると読み込みがはじまります。Core2+メモリ2GBぐらいなら比較的さっと動くと思いますが,わがノートパソコン(ThinkPad T42)では佐賀県のファイルを読み込むだけで20分ぐらいかかりました。広大な都道府県では,道路や等高線は一部のzipファイルだけを読み込んでみて必要な地域が含まれているか確認したほうがよいかもしれません。

もうちょっと見たい部分を拡大すると,例えば以下のような表示になります。

次にこのデータをシェープファイルに変換します。
基盤地図情報閲覧コンバートソフトのメニューの「コンバート」→「シェープファイルへ出力」で変換項目を選択し,出力先のフォルダを指定します。今回は直角座標系へ変換はせず,佐賀県の全項目のファイルを作ります。前記ノートパソコンで10分ぐらいの処理時間でした。処理時間がかかりすぎる場合は,必要な部分を矩形や多角形で選択して,その中だけを変換することもできます。

処理が終わったら,.shp, .shx, .dbf, .prjの4種類各10個計40個のファイルができているはずです。
これで,基盤地図情報シェープファイルができました。
なお,地域によっては,市町村ごとに1:2500(都市計画図の基図)のデータが公開されています。ただし,1:2500レベルの等高線データはありません。調査範囲や目的によっては1:2500レベルの道路や建物の地図情報をフィールド野帳用の地図に使うのもよいでしょう。

位置参照情報ダウンロードサービス

ところで,今作ったシェープファイルでは市町村名までは表示できますが,大字や町名のデータはありません。地名の表示されていない地図ではどこかわからないという方もあるかもしれませんので,もう少し細かい地名を表示することを考えてみます。
国土交通省国土計画局のGISサイトにはいろいろとGISで使えるデータが公開されています。
http://nlftp.mlit.go.jp/index.html
この中で,今は位置参照情報ダウンロードサービスを利用します。
http://nlftp.mlit.go.jp/cgi-bin/isj/dls/_choose_method.cgi
都道府県単位でダウンロード→必要な県を選択・大字町丁目レベルのみ→最新年度(平成22年度)を選択してダウンロードしてください。街区レベルというのは市街地では番地に相当するので,今回はいりません。
ダウンロードしたzipファイルを解凍するとcsvファイルと書式とメタデータのファイルができます。このcsvファイルを先ほどの基盤地図情報シェープファイルと同じフォルダにでも保存しておいてください。
次回はQGIS基盤地図情報シェープファイルと位置参照情報csvをひらいて,メッシュと一緒に印刷します。