骨シンチ

今日は手術後に1度やると言われていた「骨シンチグラフィ」の検査。朝9時半にまずは注射。注射のために病室から一番遠い放素病棟(外来棟の1階の奥)というところまで車椅子で出かける。実は骨シンチは昨年にも1度経験しているので,様子はよくわかっている。鉛の缶から出された注射器で静脈に注射されたのは,人工放射性元素であるテクネシウム(Tc-99m)のリン酸化合物溶液。カルシウムと同じように血液中から骨代謝しているところのハイドロキシアパタイトに取り込まれる。
テクネシウム-99mは半減期6時間でガンマ線を出して核異性体変換し,テクネシウム-99になる。テクネシウム-99は半減期3万年ぐらいでβ崩壊してモリブデンになるがこちらの反応は遅いので,この放射性元素ガンマ線を出すがほとんどβ線(電子)を出さないのが特徴。
注射が終わってRI区域から出て,病室に戻って(ガンマ線をまき散らしながら?)普通に生活。昼食後,まずはリハビリ。今日は両松葉杖で歩く練習。特に問題もなく15分ぐらいリハビリ室の中を歩き回る。その後筋力トレーニング。リハビリ終了後,骨シンチの撮影のために再び放素病棟へ。だいたい撮影は注射の3〜4時間後に行うようだ。血液中のカルシウムイオンの骨への取り込みはそれぐらい早い。
骨シンチの撮影はガンマ線をとらえるカメラで全身を撮影し,放射性元素の局在をみる。撮影の機械は全身のレントゲンを撮るCTと同じようなもので,台の上に寝てじっとしていると15分ぐらいかけてカメラが身体の周りを動いて撮影していく。壊死のある股関節の部分と全身の2回撮影した。撮影した画像は読影医に回され,2〜3日で結果が出るとのこと。
元素の周期表の中でも,もっともなじみの薄い元素の1つであるテクネシウムが,実はこんなところに使われていた。私は,昨年初めての骨シンチの時にそれを知って驚いた。


訂正:テクネシウム→テクネチウム
テクネチウム-99の半減期は約21万年
β崩壊してできるのはルテニウム

昨年入院していた時は,文庫本と一緒に「理科年表」を持ち込んでいて,調べものには便利だったのだが,今回はノートパソコンもあるので理科年表は持ってきていない。インターネットで調べようとすると「テクネシウム」ではヒットするサイトが少ない。なぜかわからないまま昨年調べた記憶に基づいて日記を書いたのだが,実は「テクネチウム」で検索しなければならなかったのだ。元素名を誤記していたのに気づいたのは,今朝4MBもある一家に一枚周期表を20分以上かけてダウンロードして眺めてみてからだ。(10月26日追記)