GIS関係のエントリの「インテルメッツォ」

QGISの使い方指南のような記事を書き始めたところ,思いもかけずいろいろな方に読んでいただいているようです。ありがとうございます。ちょうど個人的にも,職場にユーザを増やしたくてQGISの使い方についてまとめようとしていたところなので,今後も続けて書いていこうと思っています。
GISというとどうしても高価であつかいが難しいソフトウェアというイメージが強いですし,実際,それなりの費用をかけて導入はしたものの活用されないままバージョンが古くなって今さら使えなくなったという話も聞きます。日常的に,スキャンした地形図の上にイラストレータを使って確認位置を落としていって,報告書用の図面を作成している私の職場でもGISの活用は余り進んでいません。
GISをはじめて使ってみようとする人にとって,わかりにくいのは,まず座標系の緯度経度と投影座標系のことのようです。GISの緯度経度表示で出力した図面をイラストレータでむりやり縦横比を変えてスキャンした紙地図に重ねていたのを見たこともあります。今のQGISでは,同じ測地系のデータであれば地理座標系も投影座標系も自動的に変換して重ねてくれるので,あまり問題になりません。今回の一連のエントリでは,基本的にデータは緯度経度で,表示は平面直角座標系を使う予定です。
もう一つわかりにくいのが測地系で,平成14年の測量法改正前まで使われていた日本測地系と現在使用されている世界測地系の話が,初心者にとって最大の難関のように思います。何が難関かというと,「ベクタ→データマネージメントツール→新しい座標系へエクスポートする」では日本測地系世界測地系の座標変換ができない点でしょう。いきなりこの一連のエントリの最初でExcelマクロやらRが出てきたのは,これが大変だからです。
私の記事の想定読者は,マクロ生物学(分類・生態)の学生さんとか環境調査関係者です。GISを使う目的も,まずはフィールドへ持参する地図をきれいに印刷すること,次にフィールドでとってきたデータを地図上で整理すること,そして地形や植生など関連情報と重ね合わせて分析することと進めていく予定です。

なお,この一連のエントリのきっかけとなったtwitterのやりとりをtogetterに保存しています。微妙にからむ別の話題も入っていますが,非公開にしていたのを公開しました。
http://togetter.com/li/147487

次回は基盤地図情報をダウンロードしてシェープファイルに変換して使用する方法を紹介しようと思っています。